パリ庶民のリアルな日常と暮らし情報、料理を中心にご紹介してるmoiです。

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前回記事の続きとなります。

名作映画の中の俳優と不思議な再会1

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お墓を目の前にしても、刻まれたその名前を見てもまだ実感がわきませんでした。

でも間違いなくあの映画に出ていた彼と同じ名前が刻まれていました。

フランスのお墓は亡くなった方の顔写真や似顔絵が入っていたり、好きだったものが描かれていたりと自由でいろんなスタイルがありますが、彼のお墓はとてもシンプルでした。

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家を出る時に庭の花を摘んできたので、半分を彼のこのお墓に、半分を旦那の奥さんのお墓に置かせていただきました。

墓地の列には番号が記されているので、次回からはもう迷うことなくお墓に来ることが出来そうです。

帰り道、本当にあったね、と旦那に言うと、旦那もうんと頷きました。

もしあの夜あの映画を観ていなかったら私たちきっと一生知らないままだったね、と言うと、旦那もまたうん、と。

あそこに埋葬されているということはこの街の住人だったのかな?と言うと、おそらくそうだろうね、と。

煙草たくさん吸ってたのかな?と言うと、さあね、と。

家に帰ってきて夜ごはんの時にもワインを飲みながら、また話して悪いのだけど話してもいい?と旦那に聞くと、いいよ、と言うので。

日本で子供の頃観て心に残っているフランスの名作映画に出ていたあの人がと思うと不思議過ぎるのだけど、あそこに眠っているんだよね?と言うと、旦那が、そうだね、と。

それほどの年齢じゃなく癌で亡くなっていることはとても残念なのだけど、でも変な言い方になっちゃうんだけど、こんな偶然って私にとってはちょっと奇跡に近いかも、と言うと、旦那は微妙な表情を浮かべはしたけど、でも何となく言いたいことは伝わったようでした。

サイトでさらに知った情報によると、その映画以降は次第にTVへと移り、印象では地道に活動なさっていたようでした。

奥さんのことはわからなかったのですがお子さんたちがいらっしゃるようです。

でも亡くなる前の数年間の情報はまったくありませんでした。

その期間もきっとこの街での数年なのでしょう。

もしかしたらご家族は今もこの街に住んでいるのかもしれないし、そこから墓地に来てお手入れなさっているのかもしれません。

ファミリーネームを検索すればわかるかもしれませんが、わかっても、ただの恐い変なアジア女になっちまうので何もしようがありませんが…。

旦那がネットで彼の写真をいろいろ探してくれまして40代くらいまでのものでしたが、面影がしっかり残っておりました。

で、この数日の間、この不思議な再会について思いを巡らせております。

私が子供の頃は今のようにネットがあったわけじゃなく、海外旅行も気軽に行ける時代ではなく(家庭事情にも寄ると思いますが)、フランスは本当に遠い外国でした。

子供の感覚的には別の星的な感じだったかもしれません。

そんな中で好きでTVでしょっちゅう観ていたフランス映画というのは、日本とはまったく違う風景で顔がまったく違う西洋人が出てきて、鮮やかだったり華やかだったり白黒の儚さや哀愁だったりで、私にとってはどこか幻のような夢のような、そして尊さもある世界でした。

今の時代のように俳優さんが舞台挨拶したり宣伝でTV番組に出てくるようなことも細かな情報もほとんどなかったし、ましてや外国作品なので、そのフィルムの中の世界がすべてでした。

その中にいた人が突然、日本からフランスにやって来た私の2024年の現実の暮らしの中に現れたのです。

時期は重なっていないけど、同じ通りを歩き同じ風景を見ていたかもしれません。

同じスーパーに行っていたかもしれません。

同じマルシェに行っていたかもしれません。

いやおそらくマルシェは行ったことがあったでしょう。

パリ市内の世界的有名なスターたちが眠る墓地にもよく行くしその時も感慨深いものがあるけれど、それとはまた違う気持ちで、自分にとっての特別な宝物が1つ増えたように感じております。

フランスに来たから、そしてこの街に住んだから(旦那のおかげ)出会えた再会です。

なので、ほんとは最初はポルトガルに住みたかったけど、私はフランスで良かったんだなぁ、と改めて思っている2024年の11月の終わりです。

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