ここ数日、日本のニュースを見ていて自分なりに考える日が続いていました。
今回はそんなことを書いてみたいと思います。

私の母はガンで亡くなったのですが、最初に診察してもらった地元の病院でガンが見つかった時、担当の先生は母の意向をほとんど聞かずすぐに手術の話をして、それで母は納得がいかず、自分でいろいろな情報を集め、本も読み、その中からあるガンの民間療法の本を書いた先生のところに話を聞きに行き、免疫力を高める食事療法とそして先生が紹介してくれたマッサージ師によるマッサージで身体を定期的に温める、という治療を開始しました。
先生のところへは月1回行っていて、腫瘍マーカーを出してもらい、数値がどれくらいになっているかを見てもらい、食事の内容などを相談し終了という内容で、かなり高い費用。
その食事は炭水化物を多く摂らず、油や砂糖、もちろんアルコールなどもぬいて、とにかく野菜中心で、それ自体は普段から油っこいものはあまり好まず、野菜中心の食生活の人だったので大変なことはないようでした。
でもその治療から三ヶ月経った時には免疫力が高まるどころか、歩くのも少し辛くなってしまっていました。
で、家族で母と話し合い、とにかく今の状態を病院で診てもらわなくては、ということになり、私の住んでいた家の近くにあったかなりよく知られた大きな病院で、診察を受けたのです。
診てくださった先生はガンの名医と言われている方だったのですが、先生は、最初にガンの診断を受けた時に、すぐ自分のところに来てくれていればおそらく助けられただろう、と私たち家族に言いました。そして、そう長くは生きられないと。
でもそのことは母には言いませんでした。ガンがかなり進行してしまったことは本人がわかっていたし、とにかく遅いかもしれないけど出来る限りの治療を受けさせようと。
そして病院から近い私の家に母に移ってもらい、通院はもちろん、何かあった時にはすぐ行けるようにし、介護士さんにも週に2回来てもらえることになりました。
その家で、母はまだ例の先生の紹介のマッサージ師による身体を温める治療も続けたいと言うので、私もマッサージだけならと反対はせず、週に一度来てもらっていたのですが、母のベッドを置いた部屋は玄関を入ってわりとすぐのところだったので、いつも来てもらうとすぐに部屋に通す感じだったのですが、一度その人がなぜか母のベッドの部屋を通り過ぎ、奥のリビングが見えるとこまでやって来て、品定めでもするように見渡したのは今も忘れられません。
それから間もなく、母はベッドから起き上がることも出来なくなり、私は仕事と介護で本当に大変な毎日でした。でも母は私や介護士さんがいない時はベッドから動くことも出来ず、慣れないマンションの一室で1人ぼっち。天井を見つめて何を思っていたのだろうと思います。あの時仕事を辞めてずっとそばについててあげればよかった、と今でも後悔が残っています。
そしてさらに体調が悪くなり入院。
亡くなる前の2日間くらいは、叔母と2人で暮らしながら教師をしていた若い頃のことばかりを叔母と話していました。何度も何度も、あの頃に帰りたい、と言っていました。仕事が大好きな人だったけど仕事をしていた時の話は一切出てこなかった。
それを見ていて、母にとって一番楽しくて輝いてた時はその時なんだな、と思いました。
そして家族が見守る中、意識が朦朧としながら何度もゆ~っくり吸ってははいていたその呼吸がある時、戻って来ませんでした。人間の命が終わるあっけなさと儚さを客観的に見る自分がいました。そしてまるで自分の最期も見たようでした。
あれから生きること、人生について、考え方が徐々に変わっていき、そして一番の夢だった海外で暮らす、ということに結局つながった、と自分で思っています。
そして自分は最期の時、思い出すとしたら何だろう、と思うと、それはフランスに来てからのことだろうと思っています。そう思うくらいに本当にフランスに来てよかったと思っています。
けれど、ここ数日不安になっています。
母の経験もあり、自分がもしいつかそうなったら食事療法などは出来る範囲で自分でし、化学療法も受けたいと思っているのですが、その治療をここフランスで受けることに不安を持ったのです。
言葉の壁もそうだけれど、うちの犬たちの治療を見ていて大ざっぱさがときどきあるのを感じていて、それでも元気なので現実的にはまだ考えていなかったのだけれど、今回の日本のニュースで改めて考えさせられる中、たまたまこちらも読んだから。
→「★ オシャレをしながらガン治療 in FRANCE ★
フランスでガンが見つかり、治療を続け、その後日本での治療を選択した方のブログです。
実はご紹介させていただくのにためらいがありました。
でもこの方は、自分の経験を1人でも多くの人に知ってもらいたいと思ってこのブログを作ったのだろうと思いました。ブログタイトルからも感じていただけると思うのですが、前向きに、その前向きさも含め大事なことを伝えてくださっています。
フランス医療は進んでいるとはいうけれど、フランス人のおおざっぱなところ(場合によっていい時もたくさんありますが)が万が一命にかかわってきた場合は恐いとこれを読んではっきりと思ったし、自分だけじゃなくフランス人だけど旦那がもし大きな病気にかかった時のことも考えなくてはと思いました。
多くの方に是非読んでいただきたいですが、在仏日本人の方には特に読んでいただけたらと思っています。

そして、病気についてを書いてきましたが、もう1つ、こちらで暮らしている日本人の知り合いとときどき話すことは、たとえばパートナーがいる人ならば、パートナーに何かあった場合、自分はその後どうするのか、どうなるのか、と。そしてそれは1人で暮らしている人もそうだし、お子さんのいる人もそうだし。こちらに残るのか、日本に帰るのか。それから自分に何かあった時も、こっちでお墓に入るのか、それとも日本か…など。自分はしょっちゅうフランスに来てよかった、と言っているけど、そのことも含めこれから現実的に考えなくては、と。
人生の中で一番ゆっくりとした時間を過ごしてきましたが、ちゃんと考える時が来たように感じている今です。


長くなってしまいましたが、最後に。
空に行った方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
そして、今病気と向き合っている方々が1人でも多く、1日でも早く回復なさいますように。




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