今日のパリの最低気温予想は18度、最高気温予想は25度で、お天気は曇りときどき晴れの予報となっております。
前回からの続きとなります。
→私がフランスで観たドロンとベルモンド①8月18日の日曜日にアラン・ドロンの訃報が伝えられてから今週はずっと、どこかのTV局でドロンの名作映画が放送されております。
18日の夜に放送されたのはフレンチ・フィルム・ノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルの1967年の傑作「Le samourai(日本語タイトルはサムライ)」と、元婚約者のロミー・シュナイダーと共演した1969年の「La piscine(日本語タイトルは太陽が知っている)」でした。
「サムライ」は3、4年前にもTVで観たことがあったけど途中から観たので、初めから最後までちゃんと観るのは初めて。
しかもCFが一切入らないので集中して観れたのですが、めちゃくちゃ面白かったです。
映画の中ではドロンとベルモンドはいつも陰と陽と形容されたけど、この作品のドロンはまさしく陰。
パリを舞台にフィルム・ノワールらしい暗く美しい映像と最小限のセリフで、孤高な一匹狼の殺し屋の生き様が静謐に描かれていました。
クイズ番組で軽~いノリで茶目っ気たっぷりだったドロンと同じ人物とは、とてもじゃないけど思えなかったです。
そして「太陽が知っている」はサン=トロペが舞台の心理サスペンス。
始まってすぐ、数年前、若き日の美しいドロンが登場したディオールのCFは、この映画のワンシーンだったのか、と知りました。
そのCFがコチラ↓
映画は名作「太陽がいっぱい」の後続的作品ですが、真夏の別荘を舞台に常に漂う怠惰的な空気とその中にはらむ緊張感が何とも言えない雰囲気があって、こちらもとても面白かったです。
ロミーの元をドロンが去ったのは1963年。
元婚約者2人が共演し、なかなか激しいラブシーンも演じているのですが、これってフランスらしいな、と思ってその点も興味深かったです。
ロミーをキャスティングに決めたのはドロンと言われているようですが、映画の中では彼女の美しさが大大大全開で、彼女の魅力を全面に押し出すような作品になっていることを考えると、キャスティングを決めたのが本当にドロンなら、ドロン、やるな~、と思いました。
(ドロンが日本企業の接待で行った吉原がお気に入りだったとしてもそれとは別で)
で、このCFだけでも十分若き日のドロンの美しさがわかるのですが、ずっと思っていたことがありまして。
それは、ドロンには前妻ナタリー・ドロンとの間に息子、アンソニー・ドロン(1964年生まれ)、オランダ人モデルとの事実婚で、娘アヌーシュカ(1990年生まれ)と息子アラン・ファビアン(1994年生まれ)がいるのですが。
アンソニーとアラン・ファビアンはドロンに微妙に似ているけど何かがかなり似てない感じで、アヌーシュカは完全にママ似。
それがちょっと残念と言うか何と言うか。
ドロンの特別な美しさが受け継がれていくと、観る方もなんか嬉しかったんだけどな、みたいに思いまして…。
んが、ご存知の方も多いと思いますが、ドロンは最後まで一貫して父性を否定したけれど、ドイツ人モデルで歌手でもあったニコとの間にクリスチャン・アーロン・ブローニュ(1962年生まれ)という息子がいます。
ドロンはニコやクリスチャンのことを言うと激怒したそうですが、そのクリスチャンがドロンに1番良く似ていて1番美しいんですよねぇ、皮肉なことに。
でもクリスチャン、去年の5月20日に亡くなっております。
麻薬中毒だった母ニコと同じく長年麻薬中毒で、パリのアパルトマンで見つかった時はすでに遺体が腐敗していたそうです。
自分とはまったく違う世界のスターたちの話だけど、それでも人間の哀しみを感じずにはいられません。
どんな理由があるにせよ生まれてきた子供には罪はないな、エゴイストだな、と思います。
で、ドロンの正式な子供たち3人(アンソニー、アヌーシュカ、アラン・ファビアン)、一応皆芸能人なのですがまったくぱっとしなくて(ありがちですね)、ドロンが亡くなる前から醜い遺産相続争いをしているのは多くの方がご存知かと思います。
それからドロンが長年、日本人女性Hiromiさんと暮らしていたこともニュースで話題になったのでご存知の方も多いかと思います。
3人の子供たちは彼女のことをただの侍女だと言っていますが、ドロンがルポルタージュの中で聞かれていないのに自ら「僕のcompagnon(伴侶)は日本人女性のHiromiです」と言っているのを私も観ております。
侍女のことをcompagnonとは絶対言わないので、ドロンにとっての大事な女性だったことは確かかと思います。
3人の子供たちは、Hiromiさんのことを正式に認めてしまうと自分たちの遺産相続の取り分が減るので認めたくなかったのでしょう。
でも、これは有名人に限ったことではありません。
長年フランス暮らしの人が言っておりましたが、身近な人たちでも遺産相続などのお金のことになると人格が豹変して家族間で激しい争いになるのを、何十回も見ているそうです。
実は私も身近な人で、父親がなくなった途端、3人の娘のうちの1人が母親に家を売れ売れ言ってきたり、外出中に勝手に家にある高価なものを持ち出される、というようなことをされたのを聞いております。
どこの国でも人間、お金が絡むと本当に恐ろしいです…。
ということで、フランス映画界を代表する大スター、アラン・ドロンの葬儀は24日の今週土曜日、自宅のある中部ロワレ県のドゥシーモンコルボンで執り行われます。
ドロン本人、そして子供たちが国民的な追悼行事は望まず、葬儀は小規模で、自宅の敷地内の愛犬の側に埋葬されるとのこと。
ライバルで親友のジャン=ポール・ベルモンドが亡くなった時は、パリのアンヴァリッドで国家追悼式典が行われ、葬儀はサン・ジェルマン・デ・プレ教会で執り行われましたが、対照的です。
映画の中ではドロンが陰、ベルモンドが陽と形容され、でも私がフランスで観たドロンとベルモンドはどちらかと言えばその逆で、ドロンが陽でベルモンドが陰。
でも最後はまた映画の中と同じようになったのかな、なんて思います。
※追記・・・この記事を書いた後知ったのですが、ドロンの息子アンソニーにもパリの有名キャバレー「クレイジー・ホース」のダンサーとの短いロマンスで生まれた娘アリソン・ル・ボルヘスがいて、アンソニーもまたドロンと同じように父性を拒否していましたが、アリソンが21歳の時に裁判所にDNA鑑定を求めて、アンソニーは鑑定を受け、親子関係が判明。
アンソニーは娘と認め、今では元妻との間に生まれた2人の娘と共に4人で良い関係を築いているそうです。
って言ったって妹弟とは遺産相続で大揉めしてますけどね…。
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コメント
コメント一覧 (4)
サムライや太陽が知っているは、観た事ないです。
「太陽が知っている」は……昭和生まれは、観た事あると思う「太陽がいっぱい」とタイトルが似ていますね。
サムライの映画のドロン氏は陰なんですね。
「太陽が知っている」の場面を利用したCMはバカンスの場面ですかね。素敵ですね。
ロミー・シュナイダーさんは、この映画に出ているんですね。
この映画の時は彼女と別れているのにキャスティングを決めたのがドロン氏だというのが仏らしいです。日本なら気まずいから、わざわざ自分から相手役に選ばないです。仕事でやむなく共演しても…。
ドロン氏には認知してない子供がいるような話は聞きますが、そのクリスチャンが一番、似てるとは皮肉ですね。亡くなったの最近なんですね。もっと前ではないんですね。
麻薬中毒なのが気の毒。
3人の正式な子は一応芸能人でもぱっとしない…ありがちですね…💦
醜い遺産相続争いがあるのもありがちですね。
日本人の事実婚の人がいるのもニュースでやってましたね。
彼女の事を3人が追いだしてますね…。
ただの侍女、家政婦だと3人は言うけど、ドロン氏は伴侶と言い、
ベルモントさんの御葬式にもパートナーと参列して、公の存在にしたはずですよね。
お金が絡むと、道徳は無いですね。
父が亡くなった途端、母親に家を売れと迫る話もエグイけどよくある話ですね。
私の知り合いは、妹が父が亡くなった途端、母親に家を売る事を要求し、お金を要求し、その母親は住む所に困ったあげく生活保護の身になったと言ってました。妹の事は許せないと言ってました。
でも、今の日本の法律では住んでいる家を売り飛ばしてまで、財産を法廷相続通りにしなくてもいい決まりに、ここ数年でなりました。良かったです。
てっきりドロン氏の葬儀は国葬的に派手かと思ったら、地味になるんですね。
最後は映画と同じで陰なのですね。
国民的な追悼行事しないんですね。
サムライのドロンは陰も陰、徹底的に暗い寡黙な男です。
でもそれがとても合うんです。
ドロンはロミー以外にも、元恋人で長く一緒に暮らしたミレーユ・ダルクとも別れた後に舞台で共演しております。
他のフランス人スターもなのですが、前の恋人のことを結構普通に話します。
日本は「恨み」というのが後々残ったりしますが、フランス人「恨み」というのが日本に比べてずっと少ないような気がします。
過去の「嫌なこと」は結構忘れるというか。
ただしたびたび、自分の悪かったことも簡単にさらっと忘れるので、そこは首をひねります。
3人の子供たちはまったくぱっとせず、それはジョニー・アリディの子供も同じ。
親が有名でも本人に才能がないと、どんなに親がコネを使っても難しいのでしょうね。
若い時はまだよくても年齢を重ねるとさらに仕事がなくなっていくようです…。
ただのお手伝いさんがベルモンドの葬儀に一緒に参列しないですよね。
子供たちは東洋人なのも下に見ていたかもしれませんが、日本人女性が良いというフランス人男性は今だに多いし、ドロンの年齢くらいだと特に日本人女性が良いという人がまだまだ多いかもしれません。
日本もフランスも、血がつながっていてもお金がからむと諍いが起こることがよくあるようですね。
フランスはお父さんが違う、お母さんが違う、ということも多いのでさらに酷いかもしれません。
ちゃんと正式な書面を残しておいて弁護士に預けるなどして、争いが起こらないようにした方が良いのでしょう。
お金の争いは哀しいです…。
ドロンのお葬式は自宅で小規模に行われ、TV中継も一切しないので、出来ればHiromiさんも呼んであげてほしいなと思います。
今もうこの時間は葬儀は終っているのですが、どうなっているのでしょうかね…。
若い頃の美しい顔が好きです 今でもよく映画を観ます
昔の映画はインテリアや衣装や車や建築物がとても美しいので大好きです
アランドロンさん晩年は老いや子供達の揉め事(生きているうちから財産争いされるってツライわ)彼女取り上げらたり可愛そうでした
俳優仲間や映画監督や元カノがみんな死んで孤独だとご本人が言っていたそうです 天に召されて幸せなのではないでしょうか
私はこれからもアランドロンさんの美貌に癒されたいと思います
しかしB.Bやカトリーヌドヌーブさんなど女性は長生きですね☺︎
アラン・ドロンがきかっけだったのですね。
若い頃のドロンの美しさに匹敵するスターは今日に至るまで、モデルではいるだろうけど、フランス映画界ではいないかもな、なんて思います。
雰囲気の人はたくさんいますけど。
ベルモンドと違って子供の頃の境遇はかなり恵まれなかったようですが、美しさは天からのプレゼントだったのだな、と思います。
私も昔の映画のインテリアとか雑貨とか服、観るの大好きです♪
細やかさがぜんぜん違うし、今の時代では作れないものですよね~。
ドロンの晩年は、こんな言葉申しわけないけど、悲惨に近いように感じます。
認知症状は出ていたと思いますが、症状が進んでしまったのは、自分が安心して暮らせる彼女が突然いなくなって、介護をまったく手伝っていなかった子供たちが入ってきて税金のためにスイスにまで連れまわされたりしたせいかな、なんて想像しております。
本当のところはわからないけど、はい、悲しい人間社会からやっと抜け出すことが出来た今、天国でほっとしていると良いな、と思います。