今日のパリの最低気温予想は12度、最高気温予想は23度で、お天気はほぼ晴れの予報となっております。
前回の記事の続きとなります。
→今のフランスをつくづく感じた6度目のお葬式 前編
亡くなったNさんは若い頃から我が街で美容師さんをなさっていたようなので、アラブ系の方々も含め人種を超えた知り合いも多いのだろうと思ったのですが、でもそれとは別の大きな理由があったことをお葬式で知りました。
教会の式では前列左の家族席に旦那さまのJさん、そして成人している3人の息子さんが座っていたのですが、そのすぐそばに2歳か3歳くらいの坊やをあやす、グレイのチャドルを着た若い女性がいたのです。
3人の息子さんのうちお子さんがいるのは次男さんなことは知っていたし、他に小さな子供は見当たりませんでした。
なので、一昨年、Nさんが庭であやしていた赤ちゃんはあの坊やだったのかな、と思ったのです。
式は神父さまによって進められ、お話もありましたが、Nさんはポルトガル系ではあるけどこの街で生まれ育ったことや、宗教の違いを超えての人間のつながりなどをお話されていました。
神父さまはネイティヴのアクセントではなくて、後で旦那に聞いたら、おそらく東欧系の人だと思う、と言っておりました。
フランスは今、東欧系の人が本当に増えてきて、我が家の近所にもとても多いし、道ですれ違う人たちも東欧系の人であることがかなり多いんです。
3人の息子さんも順番にお話しされていましたが、次男さんは悲しみのあまり言葉に詰まり、多くの人たちも涙しておりました。
その後、ご家族の方たちが前列に並んで立つことがあったのですが、そのそばにグレイのチャドルの女性も並び、ただただ泣いていて、小さな坊やはチャドルを着た別の女性があやしておりました。
それを見て、泣いているチャドルの女性が次男さんのパートナーさんなのだな、とわかりました。
それもあって、その女性のご家族も含めたくさんのイスラム教徒の方々もこの式に参列なさっていたのです。
キリスト教の教会にアラブ系の方々、アバヤやチャドルを着た方々がたくさんいる光景はとても不思議だったし、Nさんが亡くなってしまったことは本当に悲しいことだけど、宗教を超えて悲しみを分かち合うというのは決して悪いことじゃない、と私は感じました。
式から帰ってきた後もNさんのことを思い出し、私なりにいろんなことを考えました。
クリスチャンであるNさん、そしてご家族が、敬虔なイスラム教徒を家族に迎えるということは、葛藤があったかもしれないし、周りが想像するのとは違ってなかったかもしれない。
でもNさんが赤ちゃんを愛おしげに抱き、私の人生変わったわ!と誇らしさも感じられたあの時は、もし葛藤があったとしてもその葛藤が吹っ飛ぶくらい、お孫さんの誕生が人生にとって間違いなく素晴らしいものになったんだろうな、と。
愛おしい子がいるというのは(動物も含め)ものすごい力になります。
素晴らしい素敵な女性で、息子さんたちにとって本当に良いお母さんだったんだろうなと思います。
ただ挨拶するだけだったことが悔やまれます。
もっとたくさんお話したかったです。
式から数週間が経ちましたが、JさんとNさんの家の前を通るたびにまだ信じられない気持ちになります。
家のお庭にあるピンクのロリエ・ローズが咲き出したので、綺麗に咲いてますね、と心の中でNさんに話す時もあります。
式以来Jさんをお見掛けしていないので、大丈夫かな、とも過っております。
フランスはこれからさらにもっともっと人種、宗教の違うカップルが増えていくのだろうと思います。
東欧系の方々もさらにどんどん増えていくことでしょう。
これが今のフランスなのです。
そして。
乳がん検診と子宮がん検診はとても大事だともつくづく感じております。
Nさんのお母さまも式に出席なさっていたので、娘さんが乳がんで先に亡くなってしまったということです。
乳がんはまずは遺伝が大きいというけど、ストレスが多く豊食の今の時代、遺伝ばかりではないと思います。
今回のことで私も、人間ドッグはなかなか受けられないけど乳がんと子宮がんの婦人科検診は1年に1度は必ず受けようと決めた次第です。
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コメント
コメント一覧 (2)
次男のパートナーのグレイのチャドルを身につけた若い女性、そして彼女の家族も含めたくさんのイスラム教の人達が教会の式に参列される光景になったんですね。まさに「今のフランス」を感じますね。
何より、お孫さんの存在がNさんにとってどれほどかけがえのないものだったか、その愛情が強く伝わってきます。
Nさんが愛おしげに抱っこしていたお孫さんの姿、そして「この子が生まれて人生が変わった」というあの言葉が、今あらためて深い意味を持ちますね。宗教や文化の違いがあったとしても、新しい命の喜びがすべてを超えていくんでしょうね!
Jさんをお見かけしていないとのことですが、お子さんのお家に行ってしまったんでしょうかね?
式から時間が経っても、ロリエ・ローズが咲く庭を通るとNさんの面影がよぎりますね。
そして「綺麗に咲いてますね」と心の中で語りかけるmoiさんのお気持ちに、静かで温かな優しさを感じます。
最後に会った時、ただ挨拶するだけだったことが悔やまれる分、心の中で語りかけたんですね。
乳がん検診や子宮がん検診の大切さも改めて感じたとのですね。
こうしたことを機に健康を意識するのは本当に大事ですね🍀。
Nさんの人生が、こうして周りの人にさまざまな気づきを与えているのだなと思います。
ムスリムの方々は教会に来ることをなるべく避けると思っていたのですが、こうして大事な人に何か起こった時は、たくさんの方々が足を運ぶことを見て知って、自分の思い込み、無知さに気付きましたし感銘しました。
今も差別者が多いこのフランスで、敬虔なイスラム教徒をパートナーにした次男さんも素晴らしいと思います。
お葬式から帰ってきてから旦那と少し話をしましたが、旦那も私も何度かチャドルを着た数人の女性たちがNさんのお宅に午後入っていくのを見掛けたことがあって、パートナーさんのご家族だったんだね、と。
煙草は吸わず、お酒も飲まないNさん、お孫さんを囲んで皆でおしゃべりしながらティータイムでもしていたのかな、と思い、光景を思い浮かべ、切ないけれど温かいものも感じます。
「この子が生まれて人生が変わった、というあの言葉が、今あらためて深い意味を持ちます」
はい、本当にその通りで、何ていうか、周りは関係なく私はこの子がただただ愛おしいのよ、それだけでいいの、といった感じだったかな、と今思っております。
何も知らなかったけど、お葬式に行かさせていただいて本当に良かったと思っております。
ロリエ・ローズが好きなので、今の季節になるとNさんの家のお庭のロリエ・ローズを見て、今年はお花が少ないな、多いな、と毎年思っていたんですよ。
今年はお花が多くとても綺麗に咲いているので、羨ましさも含め、声を掛けております。えへへ。
Jさんはお葬式以降、あまり家にいないようで、Jさんはポルトガル生まれでフランスに来ているので、もしかしたらポルトガルに帰って知り合いに報告などしているのかな、それとも、3人の息子さんはそれぞれ独立しているので、はい、息子さんのところに行っていることも考えられますよね。
皆さんが少しずつ元気を取り戻していって欲しいなと願います。